801.3 |
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本線 801-900 |
冷静になってみると…まずいことをした。
極力、ラウドの前では見せないようにしていたのだが。
「っは…」
頭から冷たい水を被り、気分を鎮めようとする。
しかし、そんなことで治まるものでは無くなっていた。
気を抜くとふいっと意識を持っていかれる。
「おい、風邪引くぞ」
声がして、またぼーっとしていたことに気がつく。
相手の顔が満月の陰になりよく見えない。
「おい、聞こえているのか?」
「え、ああ…」
満月というものは狂わせる力があるというが…本当なのだろうか。
銀髪の相手は視線が自分に向いてないことに気がつき、振り返って満月を見上げる。
「…すっかり忘れてたな」
「何を…」
「こっちの話。お前の不調の原因に心当たりがあるだけ」
急に風が吹き、濡れた体から体温が急激に奪われる。
それと同時に一気に思考が覚めた。
「………頼むから、ある程度の不調は言ってくんねぇかな」
普段の態度から想像できないルビーの輝き。
「こっちは仕事なんでな」
熱が一気に収まり、酔いが醒める感覚。
それとほぼ同時に風が止む。
「治まっ…た?!」
「いや、応急処置だ。短くて二時間くらいしか持たない」
例えるならバケツの容量を一時的に増やしただけだとフェイトは軽く説明した。
濡れた髪はそのままで宿へ戻る。
当然表も裏も開いてないので、窓から進入する。
「ったく…少しは考えろ」
「先が残り少ないヤツに言って何になる」
「誰が後先の事と言った」
何を言いたいのか分かっている。
347.6 |
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本線 301-400 |
荷物をひっくり返し、まじない用の薬を取り出す。
効くか効かないかという薄さの睡眠薬と幻覚剤である。
「う…」
その小瓶を危うく取り落としそうになる。
「ちょっとダメージが大きいんじゃないの?…動かないで」
「何を…」
頭のケガが響く。
そこにユイが触れるか触れないかの位置に手をかざすと、痛みがすっと無くなった。
「ほい、押しても触っても大丈夫」
「!?」
「骨以外は治った、今回は特別ね」
触ってみても痛くは無い、ゆがんだ視界も戻っている。
薬の量を調節しなければならないのでありがたい。
「ラウド、飲めるか?」
起こして薬を飲ませようとするが、苦しげな表情で唸っていて無理と判断する。
しかたなしに、少し流し込みやすいように水に溶かし、舌を噛まれない様に注意して口移しで飲ませる。
苦く甘い奇妙な味が口に広がる。
「んく……げほっ」
「ふう、飲み込んだか」
うまく飲んでくれたようだ、後は薬が効くのを待つだけだ。
幻覚剤が効いてくると、現実と切り離される状態になるので少しは楽になるはず。
苦しんでいる原因は、急にいじられたために起こる体と心の不一致だろう。
こいつの事だ、もしかしたら中途半端に意識同士が混ざり合った可能性が高い。
「…応急処置しかできないな」
997 |
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本線 901-1000 |
一歩歩くたび、びしゃりという音がする。
「…ここまでなったか」
一面の赤
「うん、もうそろそろ」
「そうか、近いのか…」
赤い空間の主はどこか満ち足りた表情だ。
「でも、リュートはあと一人やったら旅はお終いだって」
「話は聞いているが、何でだ?」
「すこし時間が欲しいって、みんなで過ごす時間が欲しいんだって」
時間か、おそらくスフィアのためだろう。
この先のことを考えると、たしかにスフィアがある程度成長するまで一緒にいたほうがいい。
「…スフィアもそうだけど、クーも自分のこと知らないだろうから」
「ラウド、お前はどうする」
「すこし寝る、気持ちの整理してからリュートに聞きたい事がある」
相手になにかしら揺らぎがある。
前ほどではないが、何か納得してない気配だ。
紺色の目が刃物の光を宿している。
「フェイト」
「ん?なんだ?」
「裁かれるってどういうこと?」
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メモ BlurLight-photoRetou... |
こうゆうのを英語でなんて言うんだろうか?
こうゆう感じのを夜景写真と合成してムードを出したい。
Halation じゃない。
flicr内をまわっているとこうゆう感じの写真に Blur Night という
題がついているのがあった。
blur で検索すると1、2枚ちょろっと出た。
だったら blur light はどうだ。
ヒット、ヒット、こうゆう感じのがたくさん出てきましたよ。
・ 検索キー: blur light
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本線 701-800 |
ここ数日、リュートに呼ばれない。
何かあったのかと、隙を見て浮き上がった。
「えーっと、替えの包帯はどこかな?」
見慣れない小さな子供。
あちらこちらに荷物が散らばっている。
「あ、リュートが持ってるかも。ちょっと待ってて」
子供はぱたぱたと部屋を出て行った。
いつの間にこんな子供を連れていたのだろう。
全然、自分の記憶に無かった。
苦手だ、小さい子供は…すぐに泣くから。
「あったあったー、やっぱりリュートが持ってたの」
包帯を二個ほど持って戻ってきた。
それとなく、言葉を選んで、話しかける。
「…リュートは?」
「んとね、おとなしく寝てた。今日と明日は動けないかもねーって」
二、三日動けない、ということはケガをしたという事か。
それなら呼ばれない理由が納得できる。
「ちょっと聞こえてる?包帯巻くから目つぶって!」
癇癪を起こされそうになって、しぶしぶ目を閉じる。
次に呼ばれたら聞かなければ。
801.2 |
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本線 801-900 |
汚れを落として宿に戻っても、冷たい感覚が取れない。
寝台の端に力無くへたりと座る。
「顔色わるいぞ、何かあったか?」
窓から入るのを手助けしてもらったフェイトに声を掛けられる。
答える気力もなく、首を横に振る。
相手は何か感じ取ったのか、無言で窓から出て行った。
「………っ!」
今までに数回ほど衝突したことはあったが、「逃げたい」などと思うことはなかった。
自分のセカイはリュートが中心だから。
でも、今度は違う。
離れたい。
あれだけ傍にいたかったのに、今は離れたい。
距離が、欲しい。
ただ、離れたい。
ガタンと窓の開く音がした。
「ったく…少しは考えろ」
「先が残り少ないヤツに言って何になる」
「誰が後先の事と言った」
びくりと声のする方向を見る。
丁度窓からリュートが入って来る所だった。
ぐっと胸が締め付けられる。
離れたいのに体が思うように動かない。
「はぁ…分かっているよ」
窓に向かってため息をついている。
気づかれたくなくて足元に目を向けた。
気づかないで欲しい、お願いだから、気がつかないで。
「気がつかないとでも思ったか?」
目じりに何か触れる。
触るな!!
突き飛ばそうとするも、寸での所でブレーキがかかる。
結局ポン、と軽く押し返す形になる。