そのひと |
返信 |
itext |
不思議な人だった。背の高く肩幅の広い、手足の大きな人だった。
素顔を見たことはない。濃く化粧をし、元の顔立ちの分からないほどあれこれ塗って、真っ赤な唇の下には薄青くひげの剃り跡が浮き上がり、白く塗っても隠し切れないそれが、その人の在り様を剥き出しにする。
「変な名前よね、開藤って。]
会うたび、その人はそのことを何度も口にする。
比較的珍しいとも言えるその姓と、手紙の字の太々しさ(押しが強そうと言う意味ではなく、紙の上で書かれた文字が妙に大きく見えたのだそうだ)に魅かれたから、会いたいと言うのに付き合ってやったと言う、その口調が女言葉だったのにはもうそれほど驚きはしなかった。
無理矢理に作った女の姿には、もちろん最初驚愕したが、物を書く人間にはこういう種類の人も多いのだろうと、拒む気持ちは湧かなかった。
「元々、"かいとう"と読んだそうですが、時間につれて"かいどう"と読むようになったそうです。」
姓のことを説明するのを、うるさそうに手を払って聞き流し、
「アンタは、藤の花は好きなの?」
「・・別に。]
ふーんとバカにしたように目を見開き、その人は赤い唇の間に煙草を挟んだ。仕草は、完全に女のそれだった。
不思議な文章を書く人だった。語尾の堅苦しい、そのくせ半ばに使われる語彙の、時折骨の抜かれそうなほど柔らかな、男の書いたものと言われれば軟らかいと言う印象が浮かび、女が書いたと言うならそれにしては女らしさの見当たらないと思うような、そのような小説を書く人だった。
血を吐いているような、呼吸をその間止めているような、読んでいて文章から血肉の感触の伝わって来る、命を削っている音の聞こえるような小説の、行間から不意に立ち昇って来る、その人自身の真正の穏やかな優しさが確かに在る。それをこの目で確かめたかったに違いない。
作品についての感想を数度送り、一体どのようにしてこんな文章を書いているのか一度見てみたいと、筆の走りに任せて書き送ってみれば、前述のように、手紙の字と姓が気になるから会ってやると、人を食ったような返事が来て、返信の名は小説を書く時の名のまま、それが一体本名なのかどうか、それは男にも女にも使える名だった。
「物を書くなんて、それ自体はただの作業よ。見たってつまんないわよ。大体髪の毛引きちぎりながら書いてる姿を見たいって、アンタ失礼よね。」
書く文章にはそのようなずけずけとした物言いは表れないのに、その人は実際には歯に衣着せぬ言い方をして、しかしどうしてかそれが気にもならず、並みより長い指の、それがペンを持って紙の上に置かれる様を、黙って想像している。
化粧と服装の華美さにも関わらず、その人はお世辞にも美しい女とは言えなかった。化け物と、ひそひそささやきながら通り過ぎる人たちもたくさんいた。
その人は、そんな声を跳ね返すように丈高い背を伸ばし、顔を高く上げて、隣りを大股に歩いてゆく。
その足に合うヒールの靴があったと言うのも驚きだが、会うたび服から靴からすべて取り替えて来るその人の、自宅の物入れの中身は一体どんなものかと、物書きの脳みそを中身を妄想するように、ひそかに考えもした。
声は女声(おんなこえ)に作って甲高く、このりっぱな体格さえなければ、女で通る場もあるだろう。
それを口にすると、
「別に女になりたいわけじゃないわよ。男はいやだと思って男のままでいたくないって思ったら、女になるしかなかっただけよ。」
そんなばかな、と思ったが、口にはしなかった。男でいたくないなら、それはつまり女になりたいと言うことではないのか。
「自分でいたいだけよ。男じゃないって分からせようと思ったら、この格好でいるのがいちばん手っ取り早いの。」
「男ではなく、女でもない自分で、ああいう文章を書いているのだと?」
意地悪のつもりではなく、問いを重ねた。
「何か書くのに、男も女もないわ。書きたければ書けばいい。アンタ、手紙を書く時に、男らしく女らしくって考えてるの?」
逆に問われて、一瞬考える。そうして、考えながら、うなずく。
「あ、そう、考えてるの、いちいち。ふーん。」
肩に掛かる巻き毛は、一体ほんものなのかどうか、その先を背中へかき上げながら、意外なことを聞いたと言いたげに片眉が大仰に曲がる。
くっきりと書いた眉、真っ赤な唇、色鮮やかなふわふわと体にまといつく服の生地、全身でここにいると絶叫しているような姿は、おかしなことに、ちょっと感情を抑えたように書かれた文章と奇妙に印象が一致していて、どちらが一体素なのかと迷うこともあったが、文章もまたさまざま装飾して書かれるものと我が身で知っているから、答えはどこかの真ん中辺りだろうと、曖昧なままわざと探しはしない。
男を拒み、女にはならず、その間には一体何があるのだろう。自分はこのような者なのだと、叫ぶその根底のないと言うのは、一体どんなものなのだろう。
http://q7ny3v.sa.yona.la/2422 |
返信 |
杉良太郎コンボイの到着はまだか。
【PFT】 pixivファンタジアT (ぴくしぶふぁんたじあてぃー)とは【ピクシブ百科事典】 |
返信 |
Quote pixv |
arohaJ氏主催の『ファンタジー』をテーマとするpixivユーザー企画の第九弾。
2015年度(4月~翌年3月)に渡って全八章開催予定。章ごとに違う世界を体験するのが特徴。
舞台となるファンタジーの世界を投稿者の作品によって形作っていく企画である。
バブル期ラブホっぽい唐突なインチキ感がわりと好きです。 - 羽田空港国際線・4F拡張エリアに新名所「はねだ日本橋」がオープンしたので 早速行ってみたの編 |
返信 |
Vimeo |
羽田空港国際線・4F拡張エリアに新名所「はねだ日本橋」がオープンしたので早速行ってみたの編
http://geiwai.net/haneda/blog-entry-175.html
前はこういうの結構嫌いだったんだけど、最近そうでもなくなってきた。
間違った過剰な日本というネタを自分たちで本気でやるのもたまには面白いかもしれん、って。
もっとも、なにも国際線の出発ロビーでやらなくてもとも思いますけど、他にいい場所もなく。
ちなみにこのエリア、売店や東屋には屋根も付いてます。
http://q7ny3v.sa.yona.la/2360 |
返信 |
久しぶりの完徹フィールドワーク。おつかれマラ。
Qiita |
返信 |
Qiita |
● 「Excel VBA Tips」 なんかもありますねー。
http://qiita.com/aimoriu/items/ed5773964706d4b7af88
● 「[UE4]MMDモデルの読み込み」 もあった。
http://qiita.com/housakusleeping/items/4e171f2ab9a1805c4e77
● 「RPG ツクール MV のゲームをブラウザ上でテストする」
http://qiita.com/hajimehoshi/items/60f8bbee8a0f29731d4a
Qiita は勉強する人たちのコミュニティかぁ.. いいなぁ..
自分が関わるとすれば、Corel Photopaint VBA で、マクロぐらいでしか関われない。 しっかし、Corel PP のVBA をやってるやつなんて 他にいるのか?
HTML5 - ブラウザで開いているサイトを、直接編集できるようにするブックマークレット - Qiita |
返信 |
Quote Qiita |
HTML5 の contenteditable 属性を true にすることで、表示されている内容をブラウザから直接書き換えることができるようになります。
これはいいな、入れました。 右クリックメニューの 「選択部分のソースを表示」 で書き込んだものも含まれて表示される(Firefox)。
http://q7ny3v.sa.yona.la/2341 |
返信 |
仏の顔も三度まで。て使いたいけどもう鬼の形相なフランス。
http://q7ny3v.sa.yona.la/2340 |
返信 |
中東にバラ撒いた種(爆弾)から芽が出て憎悪の花が咲いた。という内容を喜納小吉の替え歌にしてロック的な悦に入り浸りたい。デスメタルアレンジかな。
Live2D Cubism と Live2D Euclid |
返信 |
Live2D |
Live2D Cubism はまだ全方位ではない。 Live2D Euclid で全方位。(開発中)
>> 「Live2D Euclid」は、既に基礎技術の研究開発が完了し、3件の特許を取得しています。 <<
Cubismの打ち込みにはかなり時間がかかりそう、動画を見ているとそう思う。 たぶん Euclidはもっとかかる。 趣味で手軽にというわけにはいかない。