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いままでに感じたことの無い大きな波に、口から出たのは悲鳴。
憎まれ口をたたく余裕も無いほど飛ばされる。
一度熱を吐いても収まる気配を見せない。
一つ分かるのは…『虫』を使われた。
堪えようにも容赦なく襲ってくる波に耐えられない。
もし耐えられたとしても、その分酷く荒れて襲い掛かる。
目の前が見えなくなるほど追い詰められる。
しかし、少し慣れた体は熱を吐き出せなかった。
今度はじりじりと焦がされる感覚にすりかわっていく。
波が来ると熱がかき混ぜられ、体をよじるしかなくなる。
吐き出せない熱が苛む炎に変わるのも時間の問題だ。
苛む炎になれば気が遠くなるほど長い甘苦しい時間が始まる。
頭の片隅で、今度の時間は今までで一番長そうだと感じた。
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はたと目が覚めた。
もともと任務中の眠りは浅いので、すぐ頭ははっきりとしてくる。
「…物音?」
なにか木の軋む音がする。
ここは石造りの地下室だ、軋む音は家具からの音しかない。
「なにやってんの…こんな時間に」
ラウドが起きると悪いので、明るいディスプレイを隠しながらボイスレコーダーを起動させる。
音が漏れないようにイヤホンも必須だ。
ワイヤレス集音マイクをそーっと上部の壁の隙間に置いて。
「まったく…」
すこしボリュームを上げると何を話しているか聞こえてきた。
『オッサン、ケ…に……なに……る』
『ひ……ぶりだ……具合は…』
すこし雑音が多いが、ノイズキャンセラでも通せばきれいになるだろう。
報告書を書くために録音しておかねば。
しかしなんか様子が変だ。
「はて…?」
まだ会話が続いているが、どうもリュートの口ぶりから何か嫌がっている様子。
でも片足を骨折している所為なのか、知り合いの所為なのか暴れる気配がない。
嫌がることがあればすぐ攻撃する性格かと思っていたのだが…
暫く様子を伺うことにしてみる。
『へぇ……なに…って…か?』
『うるさい!』
なんか…余裕の無い返事になってる気がするのは気のせいでしょうか。
それにしても似たようなものを何かで…どこかで…
たとえば雑誌とか…マンガとか…小説とか…
「あ。」
パズルが一気に組みあがる感覚。
それと共に今、隣の部屋で何が起こっているか把握してしまった。
「…あわわわわ」
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周りでざわざわと物音が聞こえる。
床にびっしりと細かい紋様。
樹脂のランプに照らされて人影がゆらめく。
今から一体何が始まる?
自分は扉を背にして部屋の中心にいる。
黒づくめの人が離れた場所に何人も立っているのが皮膚感覚で判る。
ざわめきが止み、代わりに低い単調な呟きになる。
始まった。
樹脂の匂い、単調なリズム。
意識がゆっくりと眠りに入る感覚に囚われる。
完全に眠ることは無い。
体から力が抜けて、その場に崩れる…
いつのまにか目の前に人が立ったのかも定かではない。
起こされ、座る体勢に直される。
言われるがままに目の前の振り子を目で追う。
すぐに意識が暗転して暗闇に落とされた。
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「少々お邪魔しますよっと」
自分の胸くらいしかない少女がぱたぱたと動き回る。
ころころと変わる表情。
今までに見たことが無い部類の人。
「……」
不思議な人。
隠れ家に入って「暗いっ!」と言ったきりずっと掃除している。
ここは昔、水牢だとリュートが言ってた。
明るくなるわけがないのに。
「あー、カンテラかランプ…後でいいや」
「……」
「ん?何か聞きたいことある?」
じっと目で追っていたのに気がついたらしい。
声を掛けられた。
「…なんで掃除してるの?」
「しばらくココにいるんだったら、少しでもすごしやすい方がいいじゃない」
今度は、何処かからか毛布を何枚か持ってきて寝床を作り出した。
二人分。
「……なんで?」
「リュートが治るまであなたが体調管理をしっかりしなくてどーすんのよ」
「???」
「今のうち、休息を取るのも仕事よ」
言っている意味がいまいちわからない。
でも慣れないことが多くて、疲れている。
「ほんと、久しぶりに横になって寝れるわ~」
ひっぱられて簡素な寝床に座らされる。
ユイも片方の寝床に寝そべり、あくびをしながら伸びをする。
「私が疲れてるんだから、あなたはそれ以上に疲れているはずよ。じゃおやすみ」
本当に不思議な人。
疲れていることまで見抜かれた。
ほんと不思議な人…
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あちこちから響く断末魔の声。
「…知っているものすべて皆殺し。ね…ひどい師匠だな」
閉鎖されている建物に逃げ場はない。
ましてや深夜。
生き残るものがいたら、それは最初から逃げられるように不視の術をかけられている。
「ここに入ったら処刑されるだけだから、その時間が早まったと思えばいいさ」
牢の鍵を一つ一つ開けていく。
看守はとっくに息絶えているし。
開けても構いはしない、なぜなら…
「あれ、もう居住館終わったのか。早いな」
音も無く牢の入り口に立つ小柄な人影。
一時的な狂人化の術が切れ掛かっているのか、焦点の合いきらない目だ。
あと一仕事してもらうには掛け直すしかないだろう。
「おいで、ラウド」
ふらふらと近寄ってきた相手を抱き寄せる。
安心したのか、腕の中で目を瞑りふっ、と力を抜いた。
汚れるのも構わず背中を撫でてやる。
いい子だ、自分の言うことを聞いていればいい。
「舞え、舞い狂え」
一つ強く抱きしめ、耳元で囁く。
ぎくりと硬直する体。
取り落とした得物を握らせ、軽く背中を押した。
今日も一日過ぎていく |
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08/07/23 |
今日も、とっても暑かったね。
もう夏まっさかり♪って感じの一日やった。
今日は、冷やし中華食べたい。 あっさりとつるっと晩ご飯。
ところてんも食べたい。。。
帰りの電車、嫌やなぁ。。。